りゅうちぇるさんのホロスコープ 死の背景

7月12日に急死されたりゅうちぇるさん。まだ27歳という若さでした。私は最近、芸能人の方の星読みを記事にすることがすっかり減ってしまっているのですが、星を読むことだけはちょくちょくしていて、特に芸能人にあまり詳しくない私でも知っているような方が亡くなったときにはチャートを開いて、その方の人生に思いを馳せ、星を通してその死の背景を手繰り寄せようとします。そんな自分に対して、「下世話で不謹慎なことをしている」と思わないでもありませんが、誰かがきらめくように駆け抜けた人生の軌跡は、星と人との結びつきに対する理解を深めるのにとても有効で、そして、そこから得た知恵を自分やこの時代を生きる誰かのために使うことも、また大切なことだと思っています。今日はこのようなスタンスで、りゅうちぇるさんの人生と自死について星からわかることを綴っていきたいと思います。

出生図から読む りゅうちぇる の悩み・葛藤

1995年9月29日沖縄県宜野湾市生まれ。出生時間は不明のため、お昼の12時にてホロスコープを作成しています。太陽☉天秤座♎︎のほか、水星☿・金星♀も天秤座に集まって、天秤座オーバーロードを形成しています。これは、「美」と「調和」をキーワードとする天秤座の性質を人並み以上に強く持って生まれたことを意味し、美意識の鋭さ、人間関係においてバランスや調和を重んじる態度、自分自身だけでなく自分を取り囲む環境もまた優美であるべきという価値観を持った人物であることを示しています。
水星☿と金星♀がとても近くにあって、タイトなコンジャンクションになっています。芸達者。着るものもメイクもヘアスタイルも、トークも見せ方も、センスよく彩る器用さがあります。歌も踊りもなんでもこなすでしょう。芸能人にあって損のないアスペクトを持っているのはさすがです。太陽☉は幸運の星・木星♃からのサポートを受け、チャンスや他者からの保護に恵まれます。守ってくれる人・支えてくれる人・チャンスを与え引き上げてくれる人が人生のさまざまな場面において現れ、それがりゅうちぇるの人生の可能性を伸びやかに広げたことでしょう。
と、ここまで見る限り、りゅうちぇるのチャートに自死の影は全く感じられません。このチャートを読んだ占星術師さんの多くは頭をひねったのではないかな。どうしてこんなチャートの持ち主が自死をするところまで追い込まれるのだろう?と。

というわけで。10天体のみのチャートにキロンや小惑星、ドラゴンヘッドを追加してみます。10天体だけ見ても解決しない場合、キロンや小惑星、ドラゴンヘッドを追加してみると、途端に読み解けるようになることがあるので、10天体のチャートに読み慣れてきたら、そろそろ小惑星の勉強も始めてみてくださいね。
と、話が脱線しました。
キロンや小惑星を加えて作成したりゅうちぇるのチャート。改めて見てみましょう。少しだけですがハードアスペクトができました。明るく楽観的なパラスと義務感の強いベスタ⚶が重なり、その二つが土星♄とオポジションを形成しています。パラスの朗らかな良心が日々発生する義務(ベスタ⚶)に覆い尽くされ、心の中にもつ純粋さを押さえつけられるような感覚(土星♄)があったかもしれません。また、自己主張の強いジュノー⚵と土星♄もハードアスペクトを形成していますので、自分の意見や思いはあっても(ジュノー⚵)、それをのびのびと表現することは許されず(土星♄)、そこでのストレスは許容できないほど強いものであった可能性もあります。このアスペクトは、りゅうちぇるの心に苦しみや葛藤をもたらした可能性は大いにあると思うのですが、私が個人的に一番気になったのは、太陽☉とキロンのコンジャンクションです。

キロンは射手座の神話に出てくる半人半馬のギリシャ神にちなんでつけられた小惑星(あるいは彗星)です。ギリシャ神話におけるキロンは、医療や占星術、音楽、神学を他の神様に教えた賢者で、病気や傷の癒し手でもありました。りゅうちぇるのチャートでは、このキロンが太陽☉というホロスコープの中でもっとも力をもつ天体と重なり、キロンの影響は甚大です。キロンは、神様の先生という立ち位置であることからもわかるように、とても思慮深く、天上天下の真理に触れるような智慧を持つ存在です。それは、水星のヘルメスのような世渡り上手的な賢さとは一線を画すものであり、現実問題への対処や計算が上手いこととは次元が異なるもの。ここからわかることは、りゅうちぇるはとても頭が良いものの、その頭の良さは要領の良さや世の中をうまく立ち回る賢さではなく、物事の本質を捉える透徹さを持った頭の良さであったということ。ものごとを遠くまで見渡し、そして奥底の深みまでも見通すことのできるような人物であったということです。そして、そのような人物は往々にして、物事がわかる分だけ苦悩も多く、生きづらさを抱えやすいということが言えるでしょう。
苦悩の果てに行き着いてもなお、生きる意味を求め続ける清廉な生き方が、りゅうちぇるを追い詰めたのかもしれない。太陽☉とキロンの重なりをみたとき、私はそんなふうに感じました。

りゅうちぇるに訪れていた時期的な星の影響

ここまで出生図の話を延々としてきたのですが、今回の件について、大きな影響を与えているのは実は出生図よりも時期的な星の影響だったのではないかと、個人的には考えています。まずは、亡くなられたタイミングの星回りを見てみましょう。

これは、時期的な星の影響をわかりやすくエクセルでまとめたものになります。まず、長期的な影響を与えるプログレス天体については、金星♀プログレスが土星♄とトライン△になっており安定感があります。水星☿プログレスも出生図の位置からそれほど動いておらず、特段の影響はありません。トランジット天体に関しても、それほど大きな動きはなく、強いて言えば、3月まで出生の火星♂と天王星♅トランジットが正反対の位置に入って、急なトラブルに見舞われる可能性あり、といったくらいのもの。「亡くなられた」というインパクトに見合うアスペクトは見当たりません。これはどういうこと?当たってないじゃん?という感じだと思うのですが、実は、今回のりゅうちぇるさんのように突然亡くなられたり、自死された方のチャートではよくあることです。人が命を断つ時は、誰もがそれは仕方がないと思うようなわかりやすい災厄に見舞われているケースは意外と少なく、穏やかな凪のようなタイミングで、ふっと亡くなってしまうものなのかなと、色々な方を見ていく中で思うようになりました。だから人の命というのは儚いと言われるのですよね。

ということで、死のタイミングを読むだけでは、背景を知る手掛かりが何らつかめないことから、この人生の結末に至る道がどこから始まったのかを探るため、りゅうちぇるの人生を遡って見ていく必要があります。

以上は、2014年から2023年までの10年間、主だった時期的な星の影響に、りゅうちぇるの人生で起きた主要な出来事を追記したものになります。りゅうちぇるの人生で起きた主要な出来事の内容と時期についてはwikipediaを参考にしました。
この10年を並べたとき、占星術的にもっとも危うい時期というのが、ネイタルの天王星♅に太陽☉プログレスがスクエアを形成する位置に入る2016年と2017年です。この2年というのはプログレスの困難に加え、冥王星♇トランジットも水星☿・金星♀に対してハードアスペクトを形成しているという、人生でも一度あるかないかというぐらいの非常に厳しい時期に当たっています。そして、この大変な時期にご結婚という重要なタイミングを迎えている。ここが大きなターニングポイントになっているのだろうと思います。

以上、長文になりましたが、「りゅうちぇるの死の背景」についてはここまでとなります。これ以上のことを書くのはあまり良くないと思うのですが、少し書き加えると、2018年以降の金星の活発さやハーフサムの表示について考察を深めれば、りゅうちぇるの葛藤の理由や死の背景がもう少しはっきり見えてくるのではないかと思います。もし、もっと踏み込んだ解説を聞きたいという方がいれば、どこかクローズな場所でお話しましょう。

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